横浜国立大学理工学部化学・生命系学科(化学応用EP)・大学院理工学府化学生命系理工学専攻(化学応用・バイオ/エネルギー化学教育分野)

横浜国立大学エネルギー変換化学研究室/光島・黒田研究室

ナノシートからなる柔軟ハイドロゲル電極

担当者:中嶋律己 M2(研究当時)

Mesoporous hydrogel electrodes with flexible frameworks exhibiting enhanced mass transport for the oxygen evolution reaction
Chemical Communications (2024) Vol. 60, 2536-2539.

水電解では電極から気体が発生し、泡となって電解液に放出されます。気体の発生量が大きくなると、泡が電極表面に付着したり、電極内部の孔を塞ぐことで電解効率が低下してしまいます。 本研究では、柔軟な素材で多孔質電極を作れば、気泡の発生に応じて形を変えながら、細孔閉塞などの悪影響を回避できるという仮説のもと、柔軟なオキシ水酸化コバルト(CoOOH)ナノシートで作った多孔質電極を評価しました。

このグラフは電極の厚みを変えたときの1.55 V vs. RHE、1.60 V vs. RHEにおける電流の変化を示しています。 ハイドロゲル電極(図左)では、厚みを増やすと電流も増えており、電極内部までよく電流が流れていることが分かります。 通常の多孔質酸化コバルト電極(図右)では、20 μm程度から電流が頭打ちになり、細孔が閉塞していることが分かります。

なぜハイドロゲル電極が優れた性能を示すのかについては、引き続き検討が必要ですが、この様な新材料についての知見を増やし、高性能電極の開発につなげていきたいと思います。