横浜国立大学理工学部化学・生命系学科(化学応用EP)・大学院理工学府化学生命系理工学専攻(化学応用・バイオ/エネルギー化学教育分野)

横浜国立大学エネルギー変換化学研究室/光島・黒田研究室

圧着法による粉末酸素発生触媒の実用的条件での活性評価

担当学生:塚田雄大 M2(研究当時)

Measurement of powdery oxygen evolution reaction catalyst under practical current density using pressure-bonded electrodes
Electrochim. Acta 353 (2020) 136544.

再生可能エネルギーの有効利用のため、アルカリ水電解等の電気分解により電力を水素に変換して貯蔵・輸送する方法が注目されています。 アルカリ水電解のエネルギー効率は、酸素発生極(アノード)の性能によるところが大きく、現在も多くの研究開発がされています。 多くの触媒は粉末として得られますが、そのままでは電極として用いることができません。 燃料電池で用いられるインク塗布法は便利ですが、実際の水電解に要求される高電流密度条件(400 mA/cm2)では触媒が剥がれてしまったりとうまく測ることが困難でした。 本研究では、粉末触媒を冷間静水圧プレス(CIP)により高密度に固め、実用的条件下で酸素発生触媒を評価する方法を報告しました。

新しく開発した圧着法では、粉末触媒(LaNiO3)を電極基板上に塗布、プレスし、最後にCIPにて300 MPaで加熱して高密度の圧粉体を形成します。 その後、800 ℃で焼成することで粉末触媒が強く固定された電極を得ることが出来ます。

圧着法による電極を用いると、400 mA/cm2geo以上の高電流密度でも性能評価が可能であることがわかりました。 図に示すように、従来のインク塗布法で得られた性能値と比べると大幅に高い電流密度で測定が可能となったことがわかります。 さらに、この圧着電極を用い、400 mA/cm2で500時間以上の耐久性試験も可能となり、LaNiO3が高い安定性を有することも明らかにしました。 粉末触媒の正確な活性評価法を確立することで水電解触媒の開発が益々活発化できると期待されます。